この世界ではなぜかストレート信奉なるものが浸透していて、くせ毛、縮毛は多くの人にとっての「悩み」の種になっているのではないでしょうか。
私自身もくせ毛。20年以上、正確にはおそらく30年近く縮毛矯正の施術を受け続け、一見「ストレート」な自分を取り繕ってきました。
去年のいまごろ、「縮毛矯正の頻度を下げたいな」という気持ちが突然わいてきて、今年の2月にくせ毛を活かす「カーリーガールメソッド」なるものに遭遇。このメソッド自体は私に合わず撃沈しました、結果、最後の縮毛矯正から約1年。現在、いわゆる脱縮毛矯正のまっただなか。地毛のくせ毛と共に生きるという生き方への準備段階といったところです。
確認の意味で直毛とくせ毛の違いを調べてみました。
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直毛は、髪の毛一本一本にうねりが無く、根元からまっすぐ下に向かって生えている髪のことを言います。
直毛は断面を見てみると、ほぼ円形になっています。
クセ毛は、直毛とは違い、髪に癖が出ることでハネやうねりが生じている髪質です。 形状は螺旋状やウェーブ状、波状の緩やかなカールから強い巻き髪までさまざまで、これらを総称してクセ毛と呼びます。
クセ毛の断面は楕円形から不規則な形状をしています。
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たいていのサイトでほぼ同様の内容が記載されていました。
個人的に引っ掛かったのは、上記サイトはそうではないのですが他サイトは「直毛は断面がきれいな円形になっている」とあった点です。
断面図をみると、くせ毛の断面と比べると「丸」に近いのは確かだけれど、どう見ても「まん丸」ではなくそれ単体で見たら「楕円」とも取れなくない形をしていることがわかります。
あえて「きれいな丸」としている意味は ?
丸はきれいで楕円はきれいではない ?
直毛はきれいでくせ毛はきれいではない ?
単純に素朴に、けれどかなりのひがみもあってなのかそう感じてしまいました。
何をしても「直毛」と「くせ毛」の間にヒエラルキーを創りたいのだな~、直毛優位にしたいのだな~と。
そうしたら出てきたのです、
【縮れた髪の毛は初期人類の脳が大きくなるのに有利だった? 研究
頭皮を太陽の熱から守り、発汗を抑えるのに利点、異なる髪質で実験】
という記事が。かなり長文の引用になりますが……。
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2023年6月6日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によると、縮毛は人間の進化において脳が大きくなるうえで有利にはたらいた可能性があるという。
略
今回の研究により、強く縮れた頭髪は、頭皮を太陽光線からよりよく保護し、ぬれても頭皮に貼り付かないことが示された。数百万年前のアフリカの汗ばむほどの高温環境で暮らしていたヒト族の祖先にとって、縮毛は大きな利点となったはずだ。
略
研究チームはさまざまな条件下で熱がどう逃げるかのモデルを作り、初期のヒト族が進化したと考えられているアフリカの赤道直下の典型的な条件下ではどうなるかを調べた。
その結果、どの髪質の頭髪にも日射から頭皮を保護する効果があるが、頭皮を最もよく保護するのは強い縮毛で、汗をかく必要性を最小限に抑えることが明らかになった。これは重要な発見だとラシーシ氏は言う。
「頭髪は、発汗の生理的コストを下げる仕組みなのかもしれません」と氏は言う。「発汗にはコストがかかります。汗をかくと、水分と電解質が失われるからです。ヒト族の祖先にとっては大きな問題だったに違いありません。
ニュース 縮れた髪の毛は初期人類の脳が大きくなるのに有利だった? 研究
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さらに別サイトに同様のこんな記事がありました。
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□ 脳の進化に「天然パーマ」が必要だった?
人類の躍進において「脳の進化」は欠かせませんでしたが、脳は大きくなればなるほど熱の発生量も多くなります。
直射日光の影響を受けやすい頭部で、ただ脳を大きくさせてしまっては、頭がゆでダコ状態になってしまい熱中症リスクも高くなります。
頭部の熱を逃すために発汗量を増やしたとしても、体内の機能維持に必要な水分や電解質が過剰に失われてしまいます。
おそらく、その最も効率的な解決方法として、人類は「クセの強いカールヘア」を進化させたのでしょう。
これにより頭皮への太陽熱の流入を防ぎながら、水分や電解質の損失も抑えることが可能になります。まさに天然パーマは人類にとって革新的な発明だったわけです。
略
もし人類がクセ強の天然パーマを進化させていなければ、脳がここまで大きくなることも、アフリカから他の大陸に進出することもなかったのかもしれません。
クセの強い縮れ毛がコンプレックスという人もいるかもしれませんが、それは偉大な進化の過程で受け継がれたものなのです。
クセ強の「天然パーマ」は人類の脳を進化させるために必要だった可能性
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上記から、
□ ヒト族の祖先にとって「縮毛」は大きな利点であったはず
□ 脳の進化の過程でヒトはより強い「くせ毛、天然パーマ」という髪へと進化したのではないか
ということがわかります。
くせ毛は実は優性遺伝するといわれているそうです。
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両親のうちどちらか一人が直毛で、もう一人が癖毛だった場合、癖毛の方が優性なので、70%程度の確率で癖毛の子が生まれてくると言われています。 また、隔世遺伝(祖父母からの遺伝)することもあります。
くせ毛は遺伝する?現役理容師が教えるくせ毛の原因や割合などパーフェクトガイド
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言葉を変えると、くせ毛の方が髪に受け継がれる生命力が強いということでしょうか。
直毛、ストレート。これは男性性の特徴を象徴しています。男性性は例えばタワーのように真っすぐ上へ上へとのぼる性質があるとされています。タワマンの最上階にはたいていの場合男性性の強い人が住んでいます。
一方、女性性はウネウネ、迂回しながら一見迷走しているかのように蛇のとぐろ状態のエネルギー特性があると言われています。
なぜストレート信奉なのか、誰がなんのためにそう設定したのか。その設定ももちろん大事だったけれど本来は直毛もくせ毛も同じ価値で、ただ直毛なだけ、ただくせ毛なだけ。両者の断面を比べて「きれいな〇」「ゆがんだ楕円」とあえて設定しなおす必要はないということのようです。
当エッセイを執筆する前に浮かんでいたのは、「直毛もくせ毛もみんなくせ毛なのでは」ということでした。「真っすぐにはえるクセ」「ウネウネ迂回するクセ」、本来どちらも髪のもつその人特有の「クセ」であって、「直毛」と「くせ毛」と二分した時点でヒエラルキーや優越感・劣等感、また差別意識が生まれてしまったのではないかと。
素朴な疑問。100%直毛だけという人は本当にいるんでしょうか。みんな微妙にクセが混じっているのではないのかな、という気がしています。もしそうだとしたらまちがいなくみんな「クセ毛」であって、それは偉大な進化の過程ですべてのいのちに公平に受け継がれたもの、ということになるのかもしれません。
「直毛」だから「優」で、「クセ毛」だから「劣」で、その逆もまたしかり。
そういう世界観はもう超越してもよさそうです。
私は「クセ毛」だったおかげで期間限定ではあるけれど一見「ストレート」を手に入れることができたし、いまは上手にクセ毛活かしができるような練習段階を楽しめているし、何より髪の毛に対してさまざまな知恵や見解を増やすことができたし、で少しだけ意識の深化が進んだような気がしています。
私はクセ毛に生かしてもらっているんだな、そう心から思えるようになりました。だからといって現段階で自分のクセ毛が100%好きです、というレベルには達していません。
脱縮毛矯正ははたでみるほど楽なことではありません。特に女性にとってはいったんすべての「自己肯定」を失うのではないかと感じるほどつらくて苦しいものではないでしょうか。私の場合は、ですがヘアスタイルが思い通りになってくれる日が皆無なのですから。
けれどその先に視える、もしかしたら壮大な世界観ともいうべき何かにたどり着くための貴重な布石となってあらわれてくれているものなのかもしれないとも感じています。
縄文の昔、この母子里に住まう人々はクセ毛、天然パーマだったという説があります。
なぜならこの母子里の母 = カミ=大地母神システムは「大蛇」または「龍」のエネルギー特性を持っていたから。
インド・ヒンドゥーのシヴァ神もドレッドヘアだったとする説があります、まるでメドゥーサのような。
ことの真偽が解き明かされる日は来るのか、来ないのか。