風邪は万病の元。風邪を侮ってはいけない。
これ、一般的な風邪への考え方ですよね。
風邪を上手にひける人は、さまざまな病気を予防できる可能性がある。風邪は私たちの味方だ。
そう捉えた専門家が日本にいたのです。
なんでも数年前のベスト・セラーだという『風邪の効用』という本。
私は、数か月前にこの本にはじめて出逢い、まさに、まさにとうなずきまくりでこの本を読み終えました。記憶が薄れているので、まちがった解釈をしているかもしれません。が、あえて内容確認をしないでお話をすすめようと思います。
この本の著者は、整体の専門家。整体とは、身体を整えること、すなわち命を整えること、との解釈をしています。
これだけでストライク。
そして、人間の身体には風邪という素晴らしいシステムが備わっていて、風邪を上手に引いて血液を緩めて行けば、血液の滞りがなくなって、場合によってはガンでさえも防げる可能性があるのだ、と。風邪は自然の健康法。風邪は治すべきものではなく、過ぎるものである。風邪が通り過ぎるのを上手に待てばよい。
そう、人間の自然治癒力を風邪という現象が呼び覚ましてくれるというお話。
私は、この本は東洋の叡智そのものだと感じました。私たち東洋人に取って宝物とも言える内容だと。
実際私も風邪を引いたり、熱が出た時は、生姜湯を飲む程度で、その状態が過ぎていくのを静かに観察していました。以前は、市販薬たっぷり、サプリメントたっぷりで一日も早く治そうとしていたタイプなのに。
この傾向が強くなったのは、ここ10年くらいのこと。熱がでた後で私たちは白血球のお蔭で、身体が変わっている、免疫力が高くなっているとの話を知人に聴いたからです。
元々ノドが弱いので、疲れるとすぐ風邪を引いたり、熱を出したりするタイプ。風邪引きや発熱が起きると「お疲れさんマークだ」と感じるようになり、「身体を少し休めなさい」のメッセージが届いているのだと思うようになっていったのです、自然に。
そこに、自然治癒力という力の存在が重なりました。私たちには自然治癒力という神秘の力が備わっていて、本来ならその力がすべてを元に導いてくれるはず。そこに複数の薬剤を取り込む必要はあるのかしら、と。
外からの力と内なる力。どちらを信じよう。
私は内なる力を選択しました。以来、滅多なことでは病院に行かなくなりました。同時に、風邪や発熱くらいはあるものの、これといった病気にかかることもなくなっていったのです。
その、私の考え方をさらにわかりやすく解き明かしてくれているのが『風邪の効用』という本でした。
私の捉え方と同じ人がかつて生きていた。それだけでも不思議な気持ちがしましたし、それよりも何よりも、命を整える大切さをこんなにもわかりやすく説明してくれている事実にも驚きました。
個人的に、私は西洋医学より東洋医学の考え方の方がしっくりきます。もちろん、西洋医学にお世話になったこともあるし、西洋医学には西洋医学のメリットがあってそれによって、たくさんの命が救われたという事実も知っています。
ただし、その全体像は、やはり東洋医学の方がハートに響くのです。
西洋医学は、大まかに言うと身体の外に敵を見出し、その敵が身体を攻撃していると捉えます。
東洋医学は、すべてが必要なことだから、と病気そのものにもプラスの意味を見出します。
これは、西洋と東洋の宇宙観の違いともとれるもの。どちらが良い悪い、どちらが優れている、劣っている、ということではなく、ただハートにシックリおさまるのは、私の場合は東洋的宇宙観だ、ということです。
そのベースがあるから、おそらく「命を整える」という生き方そのものに心惹かれるのではないでしょうか。
整体、と言うと、身体をバリバリと鳴らす、あの荒療治的治療法を思い浮かべる人も多いかと思いますが、この本の著者は、さらにスケールの大きい捉え方をして、優しく、厳しく、たくましく命そのものを見つめています。
というのは、あくまでも私見。私はそう思います、というお話です。
この著者の本は二冊読みましたが、読んでいるだけで、私の中の何かが流れていくことを感じました。まさに、何らかの効用が起きてしまったようなのです。
すべての人に響く、というものではないでしょうけれど、私は巡り合えて本当に幸せだと思うことができました。
なかなか、一生の出逢いと思える本には遭遇できないもの。
あちらからきてくれたのかな、とご縁の意味をかみしめました。
私たちの人生には、まるで自分の頭の中をのぞかれているような錯覚に陥る出逢いが何度か訪れます。
それが一冊の本だった、ということが私にとっては大きな意味のあること。
一生モンの出逢い。それはある日突然やってきてくれるものなのですね。
※ 追記
参考 『風邪の効用』 野口晴哉著