私は自分自身を過小評価していたのではないか。
ふとそんな気持ちになりました。
自己肯定が進まず、さらに自分の価値を低くみていた。外からの目に対して、身をぎゅっと縮こませるように。
過小評価で検索すると、こんな言葉が出てきて、思わずヒザを打ってしまいました。
『インポスター・シンドローム』、心理学用語で詐欺症候群の意味を持つ言葉だそうです。
なんでも社会的にそこそこの成功をおさめていて、しかもその実力もあるのに、自身がそれを受け容れられず、この評価はまちがいだ、私は詐欺師なのではないか、と感じるこころの傾向のことなんだとか。マイノリティーや女性に多くあらわれるこころの歪みらしいのです。
成功の定義がなんであるかは別にして、社会人としてそこそこの実績を上げているのに、と私的解釈をしてみました。
興味のある人は、ご自身で調べてみるとおもしろいかもしれません。
私自身は、「そ、これこれ。まちがいない、私のことだ」と新たな自分に出逢えた歓びを感じてしまいました。
私の場合、著作を何冊も世に上梓させてもらっている作家です。それなりに販売部数も伸び、実績という結果をいただいている。
それなのに。
自分ではどこか腰が引けていたのだろうと。
「違う、違う。これは私自身の力なんかじゃない」と。
カウンセリング・セッションをはじめて「先生」と呼ばれることが多くなっても、「いえいえ、そんな立場ではありません」と。
腰が引けているのは、一見謙虚なようにもみえて、実はその奥に大きなコンプレックスが隠れていて、そのコンプレックスを感じ取られないように、「謙虚な私」を装っていただけなのではないでしょうか。日本人の社会通念として、特に謙譲を美徳とする傾向がありますものね。
その大元が、潜在意識での「私は詐欺師なのではないか」という強い不安だったというのです。
確かに私は「詐欺師」という言葉に敏感です。「この人、詐欺師だよね」と感じる人がいると、その人をジャッジしたり。しかも詐欺師に対して鼻がきく。
なるほど、自分自身を詐欺師だと感じていた私自身の姿を他者に投影していたからだったんですね。
スッとしました。私は詐欺師なんかじゃないんだ。
もしあなたもご自分のことを過小評価していて、なんだか落ち着きが感じられないという場合は、詐欺師の自分を感じてみてはいかがでしょう。実際に詐欺をしていたわけではないので、詐欺師な自分を感じても自分に不具合は生じません。
むしろ、自己肯定が進み、自己評価もそれに伴い高くなります。
このように心理学の考え方を適切に生活にとりいれると、自己肯定、自己統合、自己実現が進むようになります。
何が原因で自分の不安定を招いているのか。その要因の一つがわかることによって、さまざまなことが五月雨式に解消していくことも少なくありません。
深層心理学のメリットは、自分の意識で自分のこころの歪みを整えることができるという点です。デメリットは痛い感情、目をそむけたくなる意識に真正面から向き合わなくてはいけないため、人によってはエゴによる大きな反発が生まれてしまう点です。
私の経験からいうと、後者のデメリットは「慣れ」によって緩和する場合が多いです。
何もかも心理学がいい、というわけではありませんが、自分自身を知りたい、という場合にはなかなか使えるメソッドかもしれません。
詐欺師な私。バカが付くほど真正直なのに、ね。
何だか、私ってかわいい。
こう思うだけで自己肯定が進んでしまいました。
自分自身への愛、です。大切にしないと自分のこと。
自分を大切にしない人は、人も大切にできないし、そのうち人からも大切にされなくなってしまう。
「自分の大切さ」がすべてのスタート。
しっかり覚えておこうっと。